
ニキビと吹き出物の違いとは?原因や対処方法からスキンケアの手順まで解説!
顔に生じるブツブツとしたできものが、ニキビと吹き出物のどちらか違いが分からず悩んでいる人も多いでしょう。
肌のトラブルにはさまざまな種類があり、種類や原因によって適切な対処法は異なります。1日でも早く肌トラブルを改善するためには、できものの種類を見極めることが重要です。
本記事では、ニキビと吹き出物の違いやできる原因、対処方法、予防方法を解説します。正しいスキンケアを知りたい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ニキビと吹き出物の違いとは
ニキビと吹き出物は顔にできる発疹で、どちらも同じ「尋常性ざ瘡」を指します。尋常性ざ瘡は、皮脂が毛穴にたまることから始まる皮膚の病気です。
毛穴にアクネ菌という細菌が増えると、内部で炎症を起こして悪化します。
ニキビと吹き出物は症状・原因に大きな違いはありませんが、発症した年齢や場所などで「ニキビ」「吹き出物」と呼び分ける傾向があります。
20代前半までに、Tゾーンというおでこから鼻先にかけての部分にできる尋常性ざ瘡を「ニキビ」と呼ぶのが一般的です。
一方で、生活習慣やスキンケアなどが原因で主として顎・口周りに生じる、20代後半以降のできものは「吹き出物」と呼ぶ場合が多いです。
年代によって「大人ニキビ」などの呼称もありますが、医学上の定義はありません。
参照:公益社団法人日本皮膚科学会「日本皮膚科学会ガイドライン「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン策定委員会(日本皮膚科学会雑誌 133(3))
ニキビ・吹き出物の原因
ニキビ・吹き出物はさまざまな要因で生じます。よく見られる原因は、以下の4つです。
- 毛穴の詰まり
- ホルモンバランスの変化
- 皮脂の過剰分泌
- アクネ菌の増殖による炎症
自分のニキビ・吹き出物に適した対処をするためにも、まずは原因を把握しましょう。
毛穴の詰まり
ニキビ・吹き出物ができた場合、毛穴の詰まりが考えられます。
以下のような要因による毛穴の詰まりが原因の1つです。
- 洗顔料が合っていない
- 洗顔を怠った
- 化粧品が適切ではない
- メイクの洗い残し
通常の肌は約28日程度で角質が剥がれ落ち、生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返します。
しかし食生活や生活習慣が悪くなりターンオーバーが乱れると、剥がれるはずの角質がたまり毛穴の出口が狭まって、そこに皮脂や汚れが詰まり、ニキビ・吹き出物ができます。
参照:一般社団法人日本スキンケア協会「お肌のターンオーバーについて」
ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化も、ニキビ・吹き出物の原因です。ニキビ・吹き出物のできやすい顔・胸・背中はホルモンによる影響を受けやすい皮脂腺が発達しています。
そのため、ホルモンバランスによってはニキビ・吹き出物ができやすくなります。
女性の場合は皮脂を増加させる黄体ホルモンが増える時期の生理・妊娠・生理不順などが要因になる場合もあるでしょう。毎月月経前になるとニキビが悪化するという方も多いはずです。
また、男女を問わず思春期になると、皮脂の産生を刺激するアンドロゲンの分泌が促され、ニキビ・吹き出物ができやすくなります。
参照: MSDマニュアルプロフェッショナル版「14.皮膚疾患|尋常性ざ瘡(にきび)」
皮脂の過剰分泌
皮脂の過剰分泌も、ニキビ・吹き出物ができる原因の1つです。毛穴の詰まりと同じく、過剰な皮脂も毛穴の出口をふさぎ、ニキビ・吹き出物ができます。
皮脂の役割は、外部刺激や乾燥から肌を守ることです。肌が乾燥すると、潤いを保つために皮脂の分泌が増加します。
そのため発汗が多い夏や乾燥しやすい冬は、皮脂のバランスが崩れやすい人が多いです。また洗顔のやり過ぎで皮脂が大きく減少すると、肌が防御反応を起こして皮脂の分泌が増えることもあります。
さらに脂質の過剰摂取など、食生活の乱れも皮脂の過剰分泌につながります。特に脂肪分が多い肉類・卵類・乳製品などや、糖質が多い穀物・イモ類などを多く摂り過ぎると皮脂の分泌を促進します。
バランスの悪い食事もニキビ・吹き出物の原因になるので気をつけましょう。
参照: 公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A|Q3 にきびは、どうしてできますか?」
アクネ菌の増殖による炎症
ニキビ・吹き出物が生じた場合、アクネ菌の増殖による炎症が原因の可能性もあります。
アクネ菌は、ニキビがなくても肌にいる常在菌の1つです。アクネ菌は酸素に触れることが苦手で皮脂を好む特徴があるので、皮脂が多く酸素がない環境になると繁殖します。
そのため、皮脂やメイク汚れで毛穴が詰まるなど、何らかの要因でアクネ菌が過剰に増殖した場合にニキビや吹き出物が生じます。
毛穴詰まりだけでなく、適切でないスキンケア用品の使用もアクネ菌が増殖する原因です。肌に合っていないスキンケア用品を使うと、肌への刺激が強すぎたり、皮膚のバリア機能を低下させることにつながる場合もあります。
バリア機能の低下・肌への刺激により皮脂バランスが崩れると、アクネ菌が繁殖しやすくなるので気をつけましょう。
参照:国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター「News Release|令和時代のニキビ治療~根本から治せるようになった一方で、耐性菌の問題も~」
ニキビ・吹き出物への対処方法と予防方法

ニキビ・吹き出物ができても、通常は自然に治ります。ただし、症状が重度であったり長い時間続くと、ニキビ跡として残ることがあります。
ニキビ跡を残さないためには、適切な対処方法を行うことがおすすめです。
ここでは、ニキビ・吹き出物への対処方法と予防方法として以下の3点を解説します。
- 市販薬や皮膚科での処方薬の使用
- 皮膚科での処置
- 生活習慣とスキンケアの見直し
肌悩みがある人は、ぜひ実践してみてください。
市販薬や皮膚科での処方薬の使用
ニキビ・吹き出物の改善には、市販薬や皮膚科での処方薬の使用が効果的です。
一般的に使用される薬は皮脂の過剰分泌・炎症・細菌増殖などを抑制するもので、洗顔後などの清潔な肌に塗布します。
具体的に使用される薬は、過酸化ベンゾイルやアダパレンなどです。
炎症がひどいニキビ・吹き出物の場合は、抗菌薬を使用するケースも多く見られます。炎症にはアクネ菌の過剰な増殖が関わっているため、抗菌薬が有効なケースも少なくありません。
市販薬の使用も問題ありませんが、ニキビの状態に合っていない薬を使うと効果が得られないことがあります。
そのため、皮膚科で適切な薬を処方してもらったほうが効果的な可能性が高いでしょう。
特に炎症がひどかったり顔全体に生じたりしている重度のニキビの場合は、医療機関の受診をおすすめします。市販薬を使用しても症状が改善されない場合も、皮膚科に相談しましょう。
皮膚科での処置
重症度によっては、皮膚科受診時に注射や処置を受けることもあります。炎症が起きる前であれば、専用の器具で皮膚の詰まりを押し出す方法を提案される場合があります。
なお、皮膚科では保険適用される範囲で治療を進めます。その場合、日本国内で承認された薬を使うケースが一般的です。
一方美容皮膚科では、保険適用外の治療が受けられます。日本国内で認められていない薬や、酸を使って角質を薄く剥がすケミカルピーリングなどの治療も選べます。(治療法については診察した医師の判断になるため、必ずしも希望する治療が受けられるとは限りません)
自分が求める処置に合わせて、皮膚科を探すと良いでしょう。
生活習慣とスキンケアの見直し
ニキビ・吹き出物の改善・予防には、生活習慣やスキンケアの見直しも重要です。
ニキビ・吹き出物ができる原因である毛穴の詰まり・皮脂の過剰分泌などを抑えるためには、肌のターンオーバーの乱れを整えることが効果的です。
自分で肌のターンオーバーを正常化するためには、食生活や睡眠などの生活習慣を正しくしましょう。乱れたホルモンバランスを整えることにもつながります。
また正しいスキンケアも、ニキビ・吹き出物の改善や予防に有効です。肌に適したスキンケア用品を用いて、肌への刺激を最小限に抑えましょう。
ニキビ・吹き出物を予防するためのスキンケアの手順
ニキビ・吹き出物を予防するために効果的なスキンケアの手順は以下の通りです。
- メイクをしたときはクレンジングで化粧を落とす
- 1日2回程度、しっかり泡立てた洗顔料で顔を洗う
- 化粧水と乳液やクリーム、保湿ジェルなどで保湿する
- 市販薬・処方薬を使う
肌にクレンジング剤が残っているとニキビ・吹き出物が悪化するので、クレンジング後に必ず洗顔をしましょう。
必要以上に洗い過ぎると必要な皮脂も落としてしまうので、手で肌を傷つけてしまわないように泡で洗うことが大切です。
肌の乾燥もニキビ・吹き出物の原因になるので、洗顔後すぐに保湿しましょう。ニキビ肌用のスキンケア用品の使用もおすすめです。
皮脂を気にして保湿を控えるとかえって皮脂が増えるため、しっかり保湿してください。
参照:慶應義塾大学病院KOMPAS「病気を知る|皮膚の病気|にきび(尋常性ざ瘡)」
ニキビ・吹き出物のケアには適切な化粧品を使おう
ニキビ・吹き出物は、同じ「尋常性ざ瘡」です。一般的には20代前半でTゾーンにできる発疹をニキビ、20代後半以降フェイスラインに生じるものを吹き出物と呼ぶ傾向があります。
ニキビ・吹き出物は、毛穴の詰まり・皮脂の過剰分泌などが原因でできるとされています。
ニキビや吹き出物をケアするためには、生活習慣を整えた上で、正しいスキンケアの手順を守り、肌に合った化粧品を使うことが大切です。

【監修者情報】
資格:
・日本医師会 認定産業医
・化粧品検定1級
経歴:
2016年に名古屋大学医学部を卒業後、市中病院での初期研修を経て現在は皮膚科医として大学病院を含む複数の病院で外来診療を行う。
皮膚科医として専門的な内容をわかりやすく伝えることに重点をおき、WEB記事監修や執筆も行う。

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