
肌荒れの原因は? 赤み・粉ふきなどの場合のスキンケア方法を解説
体調の変化や季節によって肌のかさつき・赤み・粉吹き・ニキビなど、肌荒れに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
肌荒れを改善するためには、原因を特定し適切なスキンケア方法を取り入れることが大切です。また、症状によっては医療機関を受診することで改善の近道になる場合もあります。
本記事では、肌荒れの原因や適したスキンケア方法を解説します。
肌荒れの症状
肌荒れは皮膚が何らかの影響を受け、肌の状態が悪くなることの総称です。このとき皮膚の新陳代謝であるターンオーバーが正常に働いていないケースが多く見られます。
肌荒れには以下のような症状があります。
- ニキビ
- 乾燥
- 赤み・炎症
- 粉吹き
ニキビは毛穴に皮脂が詰まり、そこで炎症をきたす疾患です。
でき始めは白くプツッとした状態でコメドと呼ばれ、炎症が起きると赤くなり痛みを伴う場合もあります。炎症が進むと膿が溜まったり、しこりになったりします。
かさつきが見られる乾燥は、皮膚内部の水分や油分が不足している状態です。乾燥状態が続くと、赤みや炎症が引き起こされます。赤みや炎症が起こるということは、肌が敏感になっている証拠です。
また、乾燥すると粉吹きが見られることもあります。粉吹きとは、肌に必要な水分や油分が不足することで、皮膚のいちばん外側に存在している角層が自然に剥がれ落ちずに、肌に溜まったまま粉を吹いているように見える症状です。
肌荒れは1つの症状が起こるのではなく、いくつかの症状が現れる場合も多くあります。
肌荒れの原因
肌荒れの原因は、皮膚のバリア機能の低下とターンオーバーの乱れが考えられます。
バリア機能の低下やターンオーバーの乱れが起きると、外部刺激を受けやすくなったり、皮膚の内部の水分を保てなくなったりします。その結果、肌荒れに繋がることもあります。
バリア機能の低下とターンオーバーの乱れについて詳しく見ていきましょう。
バリア機能の低下
皮膚は表皮・真皮・皮下組織からなり、表皮のいちばん外側にある角層はバリア機能の役割を担っています。
うるおいを保つ物質が減ると、皮膚が乾燥し、角層に隙間が生じてバリア機能が低下し、水分や油分が蒸発しやすい状態になったり、外部刺激を受けやすくなったりします。
バリア機能が低下しているにもかかわらず放置したままにすると肌荒れが見られるようになるため、早めの対策が大切です。
ターンオーバーの乱れ
複数の層で構成されている表皮は、細胞が一定のスピードで徐々に剥がれ落ち、新しい細胞と入れ替わるターンオーバーが行われています。ターンオーバーが乱れることで細胞間脂質が不足して細胞同士のつながりが弱くなるため、バリア機能の低下につながり、肌荒れが起こります。
ターンオーバーの乱れを引き起こさないためにも、原因を知ることが大切です。
ターンオーバーが乱れる原因は、生活習慣の乱れと外部からの刺激が関係しています。普段何気なく生活している中で、ターンオーバーの乱れが起こってしまう場面もあるでしょう。
生活習慣の乱れと外部からの刺激について、詳しくご紹介します。
▪️生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは、ターンオーバーのサイクルに影響を与えます。特に睡眠と食生活が乱れることは、肌状態にも関わります。
睡眠中は深いノンレム睡眠と、浅いレム睡眠が交互に繰り返し行われている状態です。入眠後約90〜120分のノンレム睡眠のときに、ターンオーバーに関わる成長ホルモンが分泌されるため、肌にとってこの時間は非常に大切です。
睡眠の質を高めるために毎朝太陽の光を浴び、眠気を誘うメラトニンを分泌させましょう。
また食生活において、忙しいからといってコンビニのお弁当やインスタント食品で済ませたり、ダイエットのために過度な食事制限をしたりしていませんか。毎日必要な栄養素が摂れていないと、ターンオーバーが乱れやすくなります。
ターンオーバーを良好に保つために必要な栄養素は、ビタミンA・B群やたんぱく質です。ビタミンAは抗酸化作用が高く肌を正常に保ち、ビタミンB群はターンオーバーを調節する働きがあります。ビタミンB群の中でも特に、B2とB6が重要です。
バランスのよい食事を摂り、質のよい睡眠を取り入れ、ターンオーバーの乱れを改善しましょう。
▪️外部からの刺激
ターンオーバーの乱れには、外部からの刺激も大きく関係しています。
紫外線を受けたり乾燥にさらされたりすると、皮膚表面の細胞が壊れバリア機能が低下し、炎症が起きやすい状態となります。乾燥は外気に触れることだけが原因ではありません。
冷暖房の効いた部屋は乾燥しやすく、長時間いることで、目には見えなくても皮膚内部の水分が蒸発している状態になっています。皮膚内部は壊れた細胞による隙間を埋めようと新しく細胞をつくるため、ターンオーバーのサイクルを早めます。
ターンオーバーが通常の周期よりも早くなってしまうと細胞が未熟なまま生成され、角層細胞内のバランスが乱れ、角層内に隙間が生じやすくなります。すると紫外線や乾燥のほか、花粉やダニ・ホコリなどの刺激も受けやすくなるのです。
肌荒れを予防する洗顔などのスキンケア方法
肌荒れを予防するためには、症状に合わせたスキンケア方法を取り入れてケアをすることが大切です。
肌荒れ時の洗顔のポイントや、乾燥肌、赤みや炎症がある場合のスキンケア方法を、見ていきましょう。
肌荒れ時の洗顔のポイント
肌が荒れている状態の場合、洗顔には保湿成分が配合されているアイテムを選びましょう。肌荒れしバリア機能が低下している状態のときは、肌を擦ることは避けてください。
洗顔料はよく泡立てて泡で洗うようにし、顔に手が触れないようにしましょう。洗い流す温度は熱すぎてしまうとさらに乾燥を招くため、ぬるま湯が適しています。
乾燥肌のスキンケア
スキンケアは保湿効果の高いアイテムを使用するようにしましょう。乾燥状態が強い場合、ヘパリン類似物質や白色ワセリンを試してみるのも1つの手です。
ただし、ヘパリン類似物質は赤みや皮膚炎などの副作用が起こる可能性があるため、医師や薬剤師に相談のうえ適切に使用してください。
保湿成分としては、角層内に存在する細胞間脂質に近い成分であるセラミド配合のアイテムを使うのもよいでしょう。セラミドは皮膚内部において水分保持の役割を担うため、肌の水分をキープします。
また、使用するアイテムは刺激が少ないもののほうがよいため、敏感肌用のアイテムを選んだり、アレルギーテスト済みかどうか確認したりしましょう。ただし、アレルギーテスト済みであっても、すべての方にアレルギーや皮膚刺激が起こらないわけではありませんので注意しましょう。
赤みや炎症がある場合のスキンケア
赤みや炎症がある場合、まずはクールダウンし、炎症を抑えることが大切です。
洗顔後は 皮膚温を下げるアイテムを取り入れましょう。皮膚温を下げることで、肌の熱さを鎮める働きが期待できます。
炎症が強く、何を使用しても肌にしみるなど、治らない場合は医師や薬剤師に相談し、適切なスキンケアアイテムを取れ入れてください。
ニキビがある場合のスキンケア
ニキビがある場合、肌を清潔に保つことに着目しましょう。ニキビがある場合のスキンケアでは特に洗顔が大切です。
ただし、洗浄力が強いものは肌に必要なうるおいまで取り去り、肌がつっぱり乾燥を引き起こすため避けてください。
ニキビの症状が出ていても、肌のうるおいを守ることは欠かせません。洗う頻度は1日2回までとし、過剰に洗わないようにしましょう。
使用するスキンケアアイテムは、ニキビ用のアイテムがおすすめです。ノンコメドジェニックテスト済みアイテムは、ニキビがある際のスキンケアに適した商品といえるでしょう。
肌荒れは医療機関を受診するのもあり
自分に起こっている肌荒れの原因を知り、適したスキンケア方法を行っても症状の改善が見込めない場合もあります。
肌荒れが長引いている場合、医療機関を受診するのも1つの手です。適切な治療を受けることで、症状が改善する場合もあります。
受診の目安
肌が乾燥してかさつく・ニキビが多数できるといった場合、ほかの原因で症状が起こっている可能性も考えられます。以下の症状が見られる場合は、要注意です。
- 過剰に皮膚が乾燥している、粉を吹く
- 水膨れがある
- ブツブツがある
- 患部がじゅくじゅくしている
- 強い痒みがある
過剰な乾燥は皮脂欠乏性湿疹、じゅくじゅくしていたり痒みがあったりする場合はアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎などの可能性が考えられます。
自分で判断することは困難なため、専門科を受診して何が原因なのかを知った上で対処しましょう。
治療内容
医療機関においての治療内容としては、外用薬(塗り薬)の使用が多く、場合によっては内服薬を用いることもあります。それぞれの詳細について解説していきます。
▪️外用薬
痒みや強い炎症が起きている場合、主にステロイド外用剤などの炎症を鎮静する効果がある外用薬が使用されます。外用薬は炎症がある患部を中心に塗布してください。
また、ニキビの場合は、抗菌作用や抗炎症作用のある薬が処方されます。
外用薬を塗布することで症状は緩和するものの、一時的に症状が治まっているだけであることも多く、やめてしまうとすぐに再発する可能性があります。塗布方法については処方医の指示に従うようにしましょう。
▪️内服薬
症状によっては外用薬と併せて、治療の補助目的として内服薬が処方される場合があります。
痒みや強い炎症には、痒みを起こす体内の物質を抑える効果のある痒み止めの薬や、炎症を抑える薬を処方されることが一般的です。
炎症があるニキビには、原因菌を抑える抗菌薬が処方されます。
症状の様子を見ながら種類や一度に服用する量を変更します。ただし、長期間同じ薬を服用すると薬に対して耐性がついてしまう場合があるため、続けて飲む場合、3ヵ月が目安とされています(内服方法は処方医の判断に従ってください)。
正しいスキンケアで肌荒れを予防しよう

肌荒れが起こってしまうと、改善するには非常に時間がかかります。人によってはさまざまな肌荒れが重なってしまい、悩む方も少なくありません。
そのため肌荒れが起こる前に、毎日正しいスキンケアで肌荒れを予防することが大切です。肌を擦らないようにし、ご自身の肌状態に合っているスキンケアを取り入れましょう。
スキンケアでも改善しない肌荒れは医療機関を受診し、医師の指導のもと治療を行ったうえで、正しいスキンケア方法やアイテムを取り入れることも大切です。

【監修者情報】
資格:
・日本医師会 認定産業医
・化粧品検定1級
経歴:
2016年に名古屋大学医学部を卒業後、市中病院での初期研修を経て現在は皮膚科医として大学病院を含む複数の病院で外来診療を行う。
皮膚科医として専門的な内容をわかりやすく伝えることに重点をおき、WEB記事監修や執筆も行う。

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