
日焼けによる肌トラブルを防ぐ|日焼け止めとアフターケアのポイントを解説
日焼けによるダメージは、一見大したことがないように見えてもじわじわと蓄積されていくものです。ヒリヒリと赤くなるだけでなく、将来シミやそばかす、シワになるリスクもはらんでいます。
本記事では、日焼けによる肌トラブルを防ぐ方法を解説します。日焼け止めの塗り方やアフターケアの方法にも触れますので、ぜひ参考にしてください。
日焼けとは
日焼けとは、紫外線のダメージを受けた皮膚が赤みや熱さを持ってしまう状態を指す言葉です。
まずは第一段階である「サンバーン」が生じ、紫外線を浴びた直後から肌の赤み・火照り・ヒリヒリとした痛みが出てきます。
これは紫外線によって軽い火傷をしている状態であり、炎症に近い症状が起きるのが特徴です。触ると火照ったように熱を持っていることが多く、ひどい場合はお風呂に入るとしみるような痛みが出ることもあります。
その後、数日程度で第二段階である「サンタン」が生じ、肌が黒くなっていきます。サンタンは肌にもともと備わっている色素細胞(メラノサイト)がメラニンを多く作ることが原因です。
サンタンは数週間で元通りになることが多いですが、浴びた紫外線の量が多いと黒っぽい色が定着することもあります。
ただし、どの程度日焼けの症状が出るかは、浴びた紫外線の量はもちろん、人種を含めた個人差が大きいものです。
「紫外線=夏」のイメージが根強いですが、紫外線は、3月頃から急激に強くなり、夏をピークに9月頃まで紫外線が強い季節が続きます。また、冬でも紫外線は降り注いでいますので、夏以外であっても日差しが強い日が続けば日焼けするリスクは十分に考えられます。
日焼けの症状
日焼けの症状として紫外線を浴びた後の初期に現れるのが、赤み・火照り・痛みです。目に見える変化がないことも多いですが、服で隠されている部分と比べて明確に熱を持っているようであれば、日焼けの状態と考えられます。
痛みとは、例えば「お風呂に入ってしみる」「服がこすれて痛い」などの感覚のことです。数日程度経つと、皮膚が黒くなったり皮膚が乾燥してめくれたりすることが増えます。
頭皮が日焼けして皮膚がはがれてきたものがフケのように見えたり、手足がカサついたりするなど、思わぬ肌のトラブルが生じるかもしれません。また、皮むけはかゆみにも繋がります。掻くことで皮剥けを促進することになりますので、早めのケアが必要です。
日焼け対策のポイント
日焼けは紫外線を直接浴びないように工夫することで、大きな症状が現れないよう予防できます。
日焼け止めを使うことも選択肢の1つですが、海での使用なのにウォータープルーフではない日焼け止めを使用するなど、目的に合わない日焼け止めを使用していると、日焼け止めが落ちてしまうことも考えられます。
使用目的とシーンに合ったSPF・PA値の日焼け止めを使わないと、十分な日焼け止めの効果が得られないため注意しましょう。
同時に、適切な日焼け止めを適切な量で使っていたとしても、発汗や擦ることにより落ちてしまうことがあります。外で激しい運動をするときや汗を大量にかくときは、できれば2〜3時間おきに日焼け止めを塗り直し、効果が持続するよう意識することがポイントです。
日傘・帽子・薄手の長袖シャツやラッシュガード・アームガードなどを併用するのもおすすめです。肌に直接紫外線が当たらなければ、日焼けのダメージを最小限に抑えられます。
日焼け止めの正しい塗り方

次に、日焼け止めの正しい塗り方について以下の場所ごとのポイントを解説します。
- 顔
- 首・デコルテ
- 身体
日焼け止めを塗る前に、保湿をしておくこともおすすめです。肌が乾燥していると日焼け止めを塗った箇所にムラができやすく、本来の日焼け止めの効果が発揮できなくなる場合があります。保湿することで日焼け止めのムラを防げるほか、肌のバリア機能を高められます。
顔
まずは自分の肌質に合った日焼け止めを選定するよう意識します。特に乾燥肌の場合、しっとり感を実感できるものを選びましょう。また、敏感肌の方は日焼け止めを塗ることでさらに肌が乾燥してしまいカサついたり、日焼けによるヒリヒリ感が強まったりすることがあるため、敏感肌用の日焼け止めを選ぶことをおすすめします。
塗りムラがないようにするためには、両頬・額・鼻・顎に大きめのパール粒程度の量を5点置きするのがおすすめです。首と顔の境目も意識しながら、少しずつ伸ばしましょう。
特に、日焼け止めを塗った後にメイクをする場合は、使うファンデーションがムラにならないようにしっかりと日焼け止めをなじませることが大切です。また、意外と忘れがちなのが「耳」への日焼け対策です。日焼け止めを顔に塗るタイミングで、耳への塗布も忘れず行いましょう。
なお、メイクをしている場合の日焼け止めの塗り方については、後ほど詳しく解説します。
首・デコルテ
首・デコルテに日焼け止めを塗るときは、首から襟足の部分にかけて大きく数か所に置いてから広げます。
マッサージを兼ねて下から上に塗り広げるのもおすすめです。首の前面に塗るときは上を向き、首の背面に塗るときは下を向くなど、塗りづらい部分にも日焼け止めを塗ることができてムラがなくなります。特に、顎などは地面からの照り返しで日焼けすることもあるので、忘れずに塗りましょう。
日焼け止めの量が多すぎると、シワとシワの間でムラになって凸凹になったり色の差がわかりやすくなったりすることもあります。適切な量を使用するようにしましょう。
身体
身体の場合、必ずしも全身に日焼け止めが必要なわけではありません。腕・脚など洋服に守られない場所を中心に日焼け止めを使い、反対に守られている部分は塗らないなど工夫していきましょう。
塗る範囲が広いため、日焼け止めの容器を直接肌の上に乗せて線状に出していくのがおすすめです。一方向に塗った後、手のひら全体を使ってしっかりとらせんを描くようなイメージで広げていくとムラになりにくいです。また、量を少なくしすぎるとムラになりやすく、日焼け止めの十分な効果が得られにくくなります。
特に塗り忘れが多いのは、肘の裏・膝の裏・手の甲・手の指・膝の周辺です。手の甲や手の指は特に紫外線を浴びやすく、グローブ等で予防するにしても指先は完全にカバーできないことが多いので注意が必要です。
手のひら全体を使って大きく広げるようなイメージで塗り、重ね塗りしてしっかりと効果を発揮してもらいましょう。
メイクをしている場合の日焼け止めの塗り方
メイクをするときは、「化粧水→乳液→クリーム→日焼け止め→化粧下地→ファンデーション→パウダー」の順で塗っていきます。
もしメイクが崩れてしまって直したいときは、まずティッシュオフして余分な油分・水分を落とします。
余分な油分が残っていると、その後のファンデーションやパウダーでの化粧直しの際にノリが悪くなってしまうので注意しましょう。「ティッシュオフ→日焼け止め→ファンデーションやパウダーでのお直し」と進めるのがスムーズです。
肌トラブルを防ぐ日焼け後のアフターケア
直射日光を多く浴びてしまった日は、汗やメイクを含めて肌表面の汚れを丁寧に落とし、肌をケアするよう意識しましょう。
洗顔・クレンジングで肌を擦ってしまうことを避け、泡を使って直接肌に触れないような洗い方にするのがポイントです。摩擦によるダメージを最大限防ぎつつ、洗顔後は冷水・冷えたタオル・氷を使ってじっくり冷やして肌を落ち着かせていきます。
ただし、氷を直接肌に当てると凍傷の元となるため、タオルに包んで使うことがおすすめです。
日焼け後はシミが怖いからと早めに美白化粧品を使ってしまいがちですが、まずは肌をクールダウンさせて赤みや火照りを取り除くことが先決です。
また、インナーケアの一環として肌の基礎代謝向上を意識するのも効果的です。果物や野菜からビタミンA・C・Eを多めに摂取したり、美白用サプリメントを活用したりするのも方法の1つです。
ただし、食事やサプリメントから摂取したビタミンはなかなか皮膚にまで届きづらいともいわれています。そのため、ビタミンが含まれた化粧品を選ぶことも大切なポイントといえるでしょう。
日焼けを理解して肌トラブルを防ごう

紫外線は、夏や日中だけでなく冬や夕方にも降り注いでいます。
日焼けが将来的にシミやシワの原因になるため、継続的な紫外線対策が重要です。
日焼け止めは肌質や使用シーンに合ったものを選び、適切な量を塗りなおすことが推奨されています。
また、日差しが強いときは日傘や帽子に加えて日焼け止めを使い、日差しが弱いときでも日焼け対策をして確実に予防しておくとよいでしょう。
日焼け後の肌は、炎症を抑えるケアを優先しましょう。また、食生活も意識して、日焼けしにくい肌を目指しましょう。

【監修者情報】
資格:
・日本医師会 認定産業医
・化粧品検定1級
経歴:
2016年に名古屋大学医学部を卒業後、市中病院での初期研修を経て現在は皮膚科医として大学病院を含む複数の病院で外来診療を行う。
皮膚科医として専門的な内容をわかりやすく伝えることに重点をおき、WEB記事監修や執筆も行う。

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