
ストレスによる肌荒れとは? 原因と改善に向けたスキンケアを解説
ニキビなどフェイスラインや口元に突然現れる肌荒れの症状は、ストレスが原因の可能性があります。
本記事では、ストレスによる肌荒れのスキンケア方法や、対処法をご紹介します。
ストレスが原因で起こる肌荒れの種類や、症状が出やすい箇所も解説していますので、ぜひセルフチェックに役立ててください。
ストレスにより肌荒れが起こるメカニズムについて
ストレスを感じると、自律神経の乱れによりホルモンバランスが崩れ、免疫力が低下しやすくなります。
この影響で血流も滞りがちになり、冷えや血行不良といった症状が現れ、肌のバリア機能も低下するため、皮膚トラブルが発生しやすくなります。このように、ストレスによる影響は連鎖的に肌に現れることがあります。
ここでは、ストレスにより肌荒れが起こるメカニズムとして、下記の3点についてご紹介します。
- ホルモンバランスの乱れ
- 冷えによる肌への負担
- 肌のバリア機能の低下
1つずつ詳しく見ていきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
ストレスにより自律神経のバランスが崩れると、ホルモンバランスが乱れて、肌荒れを引き起こすケースがあります。
女性の場合はホルモンバランスが乱れると男性ホルモンの分泌が増加する傾向があり、皮脂分泌が過剰になりニキビやべたつきの原因となります。
冷えによる肌への負担
ストレスを感じると、自律神経のうち交感神経が優位になります。それに伴って血管が収縮し血液の流れが悪くなり、冷えにつながります。
冷えが起きると肌のターンオーバーが乱れやすくなり、くすみやゴワつきを起こす可能性があります。
さらに、身体が冷えると血行が悪くなり、肌を作るために必要な栄養素が行き届かなくなります。これは肌のバリア機能低下の原因にもなります。
肌のバリア機能の低下
前述のとおり、ストレスが原因で自律神経のバランスが崩れることで冷えが起きると、肌のバリア機能の低下にもつながります。バリア機能低下による、肌への影響は以下のとおりです。
- 外部刺激に弱くなり、赤みやかゆみが出やすくなる
- 肌が乾燥する
- ターンオーバーが乱れて毛穴が詰まり、ニキビができる
このように肌のバリア機能の低下は、あらゆる肌荒れの原因となります。
ストレスが引き金となる肌荒れ
ここからは、ストレスが引き金となる場合がある肌荒れの具体的な症状についてご紹介します。
- ニキビや赤みなど
- アトピー性皮膚炎
- 脂漏性湿疹(皮膚炎)
- 蕁麻疹
原因まで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ニキビや赤みなど
ニキビは、毛穴に皮脂や汚れがたまり、炎症を起こすことによって生じます。
ストレスによって男性ホルモンが優位になると、皮脂分泌が活発になったり、ターンオーバーが乱れて毛穴が詰まったりすることがあり、結果としてニキビの発生につながることもあります。
通常なら、肌のバリア機能が外部刺激や細菌、ウイルスの侵入から皮膚を守っています。しかし、ストレスによってバリア機能が低下すると、外部からの刺激に弱くなります。
その際にダメージを受けたり異物が侵入してきたりして炎症が生じると、ニキビや赤みが現れます。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、赤みやかゆみが症状として現れる皮膚の病気です。
乾燥やバリア機能の低下を背景に持つことが多く、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021」では、アトピー性皮膚炎の発症・悪化因子として精神的ストレスが挙げられています。
「アトピー性皮膚炎」については、下記の記事でより詳しく解説しています。
関連記事:アベンヌ「 肌ケア情報|皮膚科医監修肌悩み別対策|アトピー」
参照:公益社団法人日本皮膚科学会「日本皮膚科学会ガイドライン|アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」(日皮会誌:131(13),2691-2777,2021(令和 3))
脂漏性湿疹(皮膚炎)
脂漏性湿疹(皮膚炎)は、頭皮や鼻、眉毛など皮脂分泌が活発なところにできる湿疹です。肌が赤くなり、フケが多くなるといった症状が特徴です。痛みはありませんが、かゆみを伴う場合があります。
脂漏性湿疹(皮膚炎)の発症には、マラセチアというカビ(真菌)が関与していると考えられています。マラセチアは皮脂を好み、増殖すると肌に影響を与える常在菌だといわれています。
皮脂成分や皮脂量の増加が原因で増殖するほか、ビタミンB群の不足や不十分な洗顔、ストレスが引き金となる場合もあります。
蕁麻疹
蕁麻疹は、皮膚の一部が赤く盛り上がる「膨疹」という症状が現れるものです。かゆみが出ることが大半で、ときにヒリヒリする痛みを伴います。しばらくすると、跡形もなく消えていくのが特徴です。
蕁麻疹はヒスタミンが体内に放出されることにより、毛細血管に影響を与えて、かゆみを引き起こします。
発症の要因は、食べ物や植物などに対するアレルギーや物理的な刺激、疲労とさまざまで、ストレスがきっかけとなる場合もあります。
ストレスによる肌荒れの対処法(スキンケア)

- 洗顔
- 保湿
洗顔
洗顔は、汗や皮脂はもちろん、空気中に漂うチリや汚れまできれいに落とす、重要なスキンケアです。
汚れを洗い落とさないでいると、毛穴詰まりを起こしたり皮脂が酸化したりして、肌荒れの原因となります。ストレスによる肌荒れが起きている場合でも、洗顔は必ず行いましょう。
炎症が起きているときは、肌に刺激を与えないようにやさしく洗うのがポイントです。洗顔料を泡立ててから使うと、肌当たりがよりやさしくなります。
スクラブ入りの洗顔料は肌への刺激となるため、肌が荒れているときは使用を控えるのがよいでしょう。
保湿
ストレスによって肌荒れが起きている場合は、バリア機能が低下しているケースが多いため、保湿も大切です。
肌に刺激を与えにくい低刺激のアイテムを選び、たっぷりと保湿して肌のバリア機能を高めましょう。
化粧水を塗るときは、手で叩きこんだりコットンで摩擦を与えたりしないよう、手のひらでやさしく包みこむように塗布してください。また肌に赤みやかゆみが出ている場合は、クールダウンが有効です。
なるべく肌の熱を落ち着かせてから保湿を行うと、炎症が起きにくい肌を目指せます。
ストレスによる肌荒れの対処法(スキンケア以外)
肌がストレスで荒れている場合には、ストレスを発散したり、ゆっくり過ごしたりすることも有効です。スキンケア以外の対処法としては、以下のようなものが挙げられます。
- ぬるめのお湯にゆっくりつかる
- アロマテラピーでリラックスする
- 睡眠をしっかりとる
- ウォーキングやヨガなどで身体を動かす
- 家族や親しい友人と会いリフレッシュする
ストレスを感じると交感神経が優位になり、身体は緊張状態が続いている状態になります。
緊張状態を解き、副交感神経を意識的にはたらかせるために、心や身体がリラックスできるように過ごしましょう。
副交感神経がはたらくことで、活発になった交感神経とのバランスがとれ、肌荒れも改善していくことが期待できます。
また、自律神経の乱れを整えるため、身体の自然治癒力を高めるようなアイテムでケアをするのも効果的です。
ストレスによる肌荒れは、ストレス要因を取り除くことが大切

ストレスによる自律神経の乱れは肌荒れの悪化を招くだけでなく、身体に様々な悪影響を与えます。そのため、早めに要因を取り除くことが大切です。
ストレスによる肌荒れへの対処法としては、低刺激の製品を使用した優しい洗顔と十分な保湿が基本となります。また、自律神経を整えるためにも、ゆっくり入浴する、アロマテラピーを行う、十分な睡眠をとるなど、リラックスできる時間を作ることもおすすめです。

【監修者情報】
資格:
・日本医師会 認定産業医
・化粧品検定1級
経歴:
2016年に名古屋大学医学部を卒業後、市中病院での初期研修を経て現在は皮膚科医として大学病院を含む複数の病院で外来診療を行う。
皮膚科医として専門的な内容をわかりやすく伝えることに重点をおき、WEB記事監修や執筆も行う。

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